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農業マルチシート【生分解性マルチシート比較一覧】2024年版

農業マルチシート【生分解マルチシート比較一覧】2024年版

地温の調節と雑草を抑制するために、土壌表面を覆うマルチング。
農業におけるマルチングには、堆肥やわらを利用する有機とプラスチックフィルムを利用する無機。また期間において、恒久的なものと、一時的なものがあり、これらは、育てる作物や農家の方針に基づいて決められます。この記事では、農業マルチシートの中でも近年特に利用が増加している生分解マルチついて、色別の使い分け。従来のポリマルチとの比較、メーカー別の比較など詳しく解説していきます。回収にかかる労力や回収後の処分費用、また従来よりコストが見直されて使いやすくなった生分解マルチを利用するきっかけになればと思います。

目次

  1. 1.生分解マルチとは
  2. 2.生分解マルチメーカー一覧
  3. 3.農業マルチシートの機能
  4. 4.マルチシートの色別比較
  5. 5.ポリマルチとの価格比較
  6. 6.まとめ

1.生分解マルチとは

一般的なポリマルチはスーパーのビニール袋と同じポリエチレン製。ポリエチレンは安価に大量生産でき、また耐薬品性、防湿性、防水性に優れ-20℃の環境でも性質を保てることから、農業用マルチシートとして最も利用されています。一方で、ポリエチレンはその頑丈さから、自然には分解されず廃棄する必要があり、地球温暖化や海洋汚染などの影響があるとされ、ポリエチレン製のレジ袋が有料化になりました。同様に農業においても、その頑丈さ故に、作物収穫後には回収する必要があり、また数100mにおよぶポリエチレンシートは産業廃棄物として処理する必要があります。

これらのことから、ポリエチレン製マルチから、主原料をPBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)とPLA(ポリ乳酸)からなる、自然界で微生物によって、水と二酸化炭素に分解されるバイオプラ原料の生分解性農業用マルチシートが増加しています。これらのバイオプラ由来の生分解マルチを使用すると、収穫後はマルチシートをそのまま土にすき込むことができ、回収および産業廃棄物代金が不要となります。

生分解性マルチシート

PBATとPLA

PBATの特徴

生分解性マルチシート生分解性マルチシート

解説

石油化学原料であるアジピン酸、テレフタル酸と1,4ブタンジオールから製造される、生分解性をもつ脂肪族芳香族ポリエステル。自然界で微生物によって、水と二酸化炭素に分解される。

ポイント

・LDPEに近い物性で、フィルム化されて使用
・PBATを主体とする生分解マルチフィルムは、農作物収穫後に土壌にすき込むことによって、フィルム回収の労力削減に寄与する
・近年全成分における植物由来化の研究が進行中。

PLAの特徴

生分解性マルチシート

解説

サトウキビ、トウモロコシ、甜菜などから糖を抽出し、発酵させて乳酸を製造し、重合して高分子化する。自然界で微生物によって、最終的に水と二酸化炭素に分解される。

ポイント

・他の生分解性プラに比べ、分解性能が低く、コンポスト環境ではないとほとんど分解しない
・PBATとのアロイ化によって剛性を調整し、農業用生分解マルチフィルムとしても活用
・結晶化しにくく、射出成形においては冷却温度を長くする必要有

2.生分解マルチメーカー一覧

生分解マルチの製造メーカーではそれぞれ、幅や長さ、最低ロットや提供できる色などの違いがあります。また玉ねぎやにんにくの栽培に最適な穴あきマルチや、センターライン、水抜き穴があるモデルなど、メーカーごとに仕様がそれぞれ異なります。

メーカー名 商品名 厚み(mm) 幅(cm) カラー
オーミヤ NINJAマルチ 0.014 95~185 黒、銀ネズ、透明、白
岩谷マテリアル ナトゥーラ 0.016、0.02 95、135 黒、白黒
大倉工業 エコローム 0.02 95~180 黒、透明
サンプラック工業 サンバイオ 0.018 95~180 黒、半透明、グリーン白
みかど化工 スーパードロン 95、135、150
MKV カエルーチ 0.018 95、135、150
辻野プラスチック ビオトップ 0.018 95~180
ユニチカ テラマック

3.マルチシートの色別比較

各メーカーが取り揃えるマルチシートの色についてにどのような特徴があるのかを紹介します。

生分解性マルチシート

黒マルチ

ポリマルチとえばこれ。という最も一般的なカラーです。太陽の光をほとんど通さないため、雑草の抑制に効果があり、また土壌の温度上昇を防ぎ、作物の生育環境を最適に作ることができます。

生分解性マルチシート

シルバー(銀ネズ)マルチ

アブラムシやアザミウマなどの害虫が、水を嫌う性質から、シルバーカラーのキラキラで、寄りにくくなり防虫効果があります。黒よりは雑草抑制効果が低いですが、アブラムシが好むナス、トマトなどの作物の栽培に適しています。

生分解性マルチシート

白マルチ

白マルチはマルチ自体の温度、地温が上がりにくい特徴があります。白菜などの葉物野菜で、黒マルチに直接葉があたると葉っぱが焼けてしまう場合に、白マルチを使うとマルチ自体の温度が低いため焼けることを防ぐことができます。また兼業農家などで、灌水の頻度が高くない場合なども白マルチだと土壌の乾燥が緩和されるため、毎日のように灌水に行けない場合には検討してみるといいでしょう。

生分解性マルチシート

透明マルチ

光の吸収がよく、地温を上げる効果が高いため主に冬季の栽培時に使用することが多い透明マルチ。一方で、透明のため光が雑草にも届き、雑草が生えてきます。季節を選んで使用しましょう。

生分解性マルチシート

白黒/銀黒マルチ

表面は白や銀色、裏面が黒色の二層マルチです。黒色では葉が焼けてしまう場合に白マルチを表側に。一方で白マルチでは雑草が抑制できないという場合に黒マルチの遮光性により雑草を抑制するなど、それぞれの色の良さを活かしたマルチです。

4.ポリマルチとの価格比較

従来のポリマルチと比較すると、約4倍ほどの価格の生分解マルチ。各メーカーのコストダウンと同時に、人件費の高騰、産業廃棄物処分費用の高騰により計算してみると、ポリマルチ同等の価格で利用できるようになってきています。もちろん、作物ごとの収益性が違うため、使える作物と使えない作物がありますが、今後の人件費の増加。産業廃棄物のコスト増は避けられないため、使用できる作物は増えていきそうです。

生分解性マルチシートは通常のマルチシートと同等コストで導入可能
生分解性マルチシートは通常のマルチシートと同等コストで導入可能

コラム:生分解マルチ導入時に使える補助金

都道府県によりますが、農作業の省力化や環境負荷低減のために、生分解マルチを利用する農業法人を対象として、購入単価の数円を補助する事業が行われています。農場または畑のある都道府県の農林水産課に確認してみてください。

5.まとめ

生分解マルチは、1990年代に日本で第一号が誕生し、すでに販売開始から30年以上近く経つ商品です。農業現場での使用は毎年増加しているものの、2020年の出荷量はポリマルチの約10%という結果も公表され、普及は思うようには進んでいません。生分解性マルチは前述の通り、ポリマルチでは必要な回収作業や産業廃棄物の処理費用が不要となり、コストだけでなく、重労働の農業の負担を軽減する商品です。

生分解性マルチシートは通常のマルチシートと同等コストで導入可能生分解性マルチシートは通常のマルチシートと同等コストで導入可能

一方でやはりネックはコストであり、通常のポリマルチと比較し4~5倍の価格のため、収益性の高い作物にしか利用できない。どうしてもポリマルチの方が安くて魅力的ということで切り替えがされないことが、普及のための最大の課題となっています。現在日本の農業は、65才以上の方が70%を占めています。農業の負担が軽減され、食の安全を守っていくためにも、各農業マルチシートメーカーがコストダウンし、また地方自治体を中心とした補助金政策により、生分解マルチの普及が一層進んでいくことを期待しています。

当社オーミヤについて

1958年創業の農業用噴霧ノズルおよび農業資材メーカーです。米、野菜、果樹それぞれの作物に応じた防除関連商品。また農業の負担を軽減する省力化商品を開発製造販売しています。生分解マルチの販売も行っていますので、生分解マルチの使用方法や価格など分からない点があればお気軽にお問い合わせください。

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